電子黒板の歴史をひも解く:黒板からICT教育へ進化した理由とは?
黒板とチョークが当たり前だった教室が、いまや電子黒板やタブレットが並ぶ時代に変わりつつあります。
でも、そもそも電子黒板はいつ、どんなきっかけで生まれたのでしょうか。
ここでは、昔の黒板から電子黒板までの歴史を振り返りながら、未来に向けた可能性を探っていきます。
黒板とチョークは長い間、学校の授業や講義で主役となってきました。
しかし、粉が飛び散りやすく、服や手が汚れることも多いため、衛生面で悩む先生方もいたはずです。
また、文字や図を多く書くと消す手間が大変で、授業の進行がスムーズにいかないときもありました。
こうした不便さを少しずつ解消するため、ホワイトボードが登場したり、OHP(オーバーヘッドプロジェクター)が使われたりと、少しずつ教室の風景が変化してきたのです。
やがて、IT技術が教育の現場にも取り入れられるようになり、もっと効率よく書いたり、消したりできないか」「離れた場所とつなぐ授業ができないか」といった新しいニーズが高まっていきました。
そんな要望を受けて生まれたのが、パソコンやプロジェクターを組み合わせた初期の電子黒板です。
講義資料を電子画面に映し出したり、ペンを使って書き込んだりできる機能が評価され、少しずつ学校や企業で導入が進んでいきました。
電子黒板の普及スピードは国や地域によって大きく異なります。
ここでは、日本と海外での電子黒板導入の歴史を見ていきましょう。
アメリカやイギリスなどでは、2010年頃から黒板に代わってホワイトボードや電子黒板を使う動きが見られました。
特にアメリカではオバマ政権時代に公立の学校で電子黒板が広く導入されるなど、国が電子黒板の普及を推奨しています。
「先生だけが一方的に書くのではなく、子どもたちが手を挙げて直接画面に書き込む」という参加型の授業が注目され、現在ではほぼすべての学校で導入されています。
日本でも「GIGAスクール構想」をはじめとした政策が後押しとなり、ここ数年で一気に電子黒板やタブレットなどICT機器を導入する学校が増えました。
とはいえ、教師による操作研修や機械のメンテナンス体制が十分でないと、せっかくの機能を使いこなせません。
そのため、自治体ごとの取り組みやサポート体制によって、普及や活用度合いに差があるのが現状です。
初期の電子黒板は、プロジェクターとパソコンをケーブルでつないで使うタイプが主流でした。
しかし、タッチパネルの精度が上がったり、無線通信が発達したりするにつれ、デザインや機能が大きく進化しています。
いまでは画面に直接触れるだけでスムーズに文字を書ける高性能ディスプレイが登場し、ZoomやTeamsなどのオンライン会議システムとも連携できるようになりました。
最新の電子黒板は、まるでスマートフォンを操作するような感覚で画面に書き込みが可能です。
筆圧を認識して太さが変わるペン、クラウドに自動保存する機能など、教育だけでなくビジネスの打ち合わせでも重宝されています。
また、離れた相手と同じ画面を共有しながら書き込めるため、リモートでの打ち合わせや講習などが実現可能となりました。
5GやAIと組み合わせれば、ライブ映像を遅延なく大画面に映し出し、その上に書き込むことも容易になります。
将来的にはARやVR技術とも相性が良く、3次元の立体映像を扱える学習シーンが増えていくかもしれません。
こうしたテクノロジーの進化によって、電子黒板は単なる「デジタル化された黒板」から、多機能な「学びとコミュニケーションのプラットフォーム」へと変わりつつあります。
電子黒板の誕生は、チョーク粉の不便や板書の手間といった昔ながらの問題点を解決することから始まりました。
海外での導入が先行したことで、日本でも少しずつ注目が集まり、近年のICT教育ブームによって一気に広がったのが現状です。
電子黒板の歩みを知ることは、私たちが未来の教育や働き方を考えるうえでも大切なヒントになります。
ぜひあなたの学校や職場でも、その歴史を踏まえて電子黒板の可能性をどんどん活かしてみてください。